【企業のスパム対策】迷惑メールを防ぎ、自社のメールを確実に届ける「攻めと守り」の優先順位

お問い合わせフォームの設置を考えているオーナー様にとって、メール周りの環境整備は「攻め」と「守り」の両輪です。 「大切なお客様からのメールを確実に受け取り、こちらの返信も確実に届ける」こと。そして「悪質な攻撃から会社を守る」こと。 この2つを両立させるために、本当に必要な対策を整理しました。

目次

1. 「うちは小さいから大丈夫」は通用しない現実

まず、少し厳しいお話から入りますが、スパムメールやサイバー攻撃において「中小企業だから狙われない」ということはありません。 攻撃者の多くは、プログラムを使って機械的に攻撃対象を探しています。ウェブサイトにメールアドレスやフォームがあれば、そこは規模に関係なく自動的にターゲットになります。

万が一、乗っ取られて取引先に詐欺メールをばら撒いてしまったら……。 自社の被害だけでなく、信用問題に直結します。だからこそ、最低限の備えが必要なのです。

2. 最優先事項は「なりすまし対策(DMARC)」

今、一番力を入れていただきたいのが、自社のドメイン(@以降の部分)の信頼性を守ることです。 最近、GoogleやYahoo!などが「送信元の身元がはっきりしないメールは届けない」というルールを強化しています。これに対応するために必須となるのが「DMARC(ディーマーク)」という設定です。

これをやっておかないと、せっかくお客様に送った返信や案内が、勝手に迷惑メールフォルダに入ってしまうリスクが高まります。

DMARCって何?

一言で言えば、メールの「身分証明」と、偽物だった場合の「対処指示書」です。 仕組みとしては、以下の3点セットで考えます。

  • SPF(名簿): 「このサーバーから送るのは正規のメールですよ」というリスト。
  • DKIM(封蝋): 「途中で内容が改ざんされていませんよ」という電子署名。
  • DMARC(司令塔): 上記の認証に失敗した怪しいメールをどう扱うか(監視するのか、拒否するのか)を決めるルール。

オーナー様がやるべきこと

難しい技術設定は制作会社やシステム担当者に相談するとして、オーナー様が決めるべき方針はシンプルです。

  1. 現状把握: 自社のドメインを使ってメールを送っているシステム(フォーム、メルマガ配信ツールなど)をすべて洗い出す。
  2. まずは「監視」から: 最初から厳しくブロックすると、正規のメールまで届かなくなる事故が起きかねません。まずは「p=none(何もしないでレポートだけ送って)」という設定で様子を見ます。
  3. 徐々に厳しく: 問題がないことを確認してから、徐々に「隔離」や「拒否」へとセキュリティレベルを上げていきます。

これで「あなたの会社になりすましたメール」を排除でき、正規メールの到達率も上がります。

3. フォーム設置と法令遵守(さらっと確認)

ウェブサイトからお客様にメールを送る際は、法律(特定電子メール法など)も意識する必要があります。特に宣伝メールを送る場合は、以下のマナーを守りましょう。

  • 同意をもらう: 広告メールを送るなら、事前に「送っていいですか?」と許可を取りましょう。
  • 解除を簡単に: 「配信停止」の手続きが面倒だと、お客様はイラっとして「迷惑メール報告」ボタンを押してしまいます。これはドメインの信頼を大きく損なう行為です。ワンクリックで解除できるくらい簡単なのが理想です。

4. 最後は「人」の対応力

システムで防御を固めても、人間の心理を突く詐欺メール(請求書送付のふりをしたウイルスメールなど)を100%防ぐのは困難です。 「人間はミスをするもの」という前提で備えましょう。

  • 違和感を大事に: 「件名がやけに緊急」「日本語が少し変」「送信元のアドレスが微妙に違う」。こうした違和感を感じたら、添付ファイルやリンクは開かないのが鉄則です。
  • クリックしてしまったら: もし開いてしまっても、焦って隠そうとするのが一番危険です。「LANケーブルを抜く(Wi-Fiを切る)」「すぐに担当者に報告する」「パスワードを変える」。この初動が早ければ早いほど、傷は浅くて済みます。

セキュリティについて、どういった対策が可能かについては、下記記事も御覧ください。

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まとめ:セキュリティは「信頼」への投資

小規模な組織であれば、自前ですべて防ごうとせず、クラウド型のセキュリティサービス(メールが届く前にウイルスを除去してくれるサービスなど)に頼るのが現実的で賢い選択です。

DMARCの設定などは、例えるなら「自社の封筒に、偽造できない社判を押して送る」ようなもの。 手間は少しかかりますが、これを行うことで、お客様に「この会社からのメールなら安心だ」と信頼していただけるようになります。それは結果として、ビジネスの成果にもつながっていくはずです。

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