Cash App、スパムSMS送信をめぐる集団訴訟で1,250万ドルの和解が成立


モバイル決済サービス「Cash App」を運営するBlock社は、同アプリから未承諾のテキストメッセージ(SMS)を受け取ったとするワシントン州の消費者らによる集団訴訟において、1,250万ドル(約18.7億円)を支払うことで和解に至りました。

火曜日、シアトルの連邦裁判所はこの和解案を「公正かつ合理的」として承認し、訴訟を棄却しました。

Cash Appは何をしたのか?(問題となった仕組みの詳細)

今回の訴訟の焦点となったのは、Cash Appがユーザー獲得のために利用していた「友だち招待(Invite Friends)」機能と、それによって引き起こされたスパム行為です。具体的には以下のプロセスが問題視されました。

  1. インセンティブによる拡散の推奨:

Cash Appは既存ユーザーに対し、アプリを知り合いに紹介することで「5ドルの紹介ボーナス」が得られるキャンペーンを行っていました。

  1. 自動的なメッセージ送信:

ユーザーがこの機能を利用して連絡先リストから友人を選択すると、Cash Appのシステムがその友人に対し、アプリへの勧誘メッセージ(SMS)を送信します。

  1. 同意のない受信:

原告であるKimberly Bottoms氏をはじめとする受信者側は、Cash Appのユーザーではありませんでした。彼らは自分の電話番号が利用されることに同意していないにもかかわらず、既存ユーザーがボーナス欲しさに招待機能を使い続けた結果、勧誘のSMSを一方的に送りつけられることになりました。

ワシントン州には「商用電子メール法(CEMA)」という厳しい法律があり、受信者の同意なしにスパムメール(2003年以降はテキストメッセージも含む)を送ることを禁じています。

Block社側は「メッセージを送る操作をしたのはユーザーであり、会社ではない」と主張していましたが、同州法は送信を「開始または支援(initiate or assist)」した第三者も規制対象としています。つまり、「報奨金(5ドル)を餌にして、ユーザーにスパム送信の『引き金』を引かせたCash App側の責任」が問われた形です。

和解の詳細と今後

  • 和解金の配分:

総額1,250万ドルのうち、弁護士費用として310万ドルが差し引かれます。集団訴訟の代表原告には1万ドルが支払われ、期限(10月27日)までに申請を行ったその他の対象者は、一人あたり約88ドルから147ドルを受け取ることになる見込みです。

  • 対象期間:

2019年11月から2025年8月の間に、ワシントン州の市外局番を持つ電話番号で、Cash Appからの望まないテキストメッセージを受信した人々が対象となっています。

この訴訟では、Block社が州法の合憲性についても異議を唱えていましたが、州司法長官が法の擁護のために介入する事態となっていました。今回の和解により、法的論争には終止符が打たれることになります。

参照:https://www.paymentsdive.com/news/cash-app-spam-settlement-approved/806903/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次