2025年最新レポート：テキストメッセージ詐欺が50%急増、若者世代が最大の標的に
Consumer Reports、Aspen Digital、Global Cyber Allianceが共同で発表した「2025 Cyber Readiness Report」によると、テキストメッセージやメッセージングアプリを介した詐欺の試みが、過去1年間で50%も増加していることが明らかになりました。
特に衝撃的なのは、デジタルネイティブであるはずの「Z世代（若者）」が最も狙われているという事実です。本記事では、レポートで明らかになった被害の実態と、推奨される対策について紹介します。
1. Z世代を襲う「3つの要因」
レポートによると、過去1年間にデジタル詐欺に遭遇した人のうち、30%が「テキストまたはメッセージアプリ」から始まったと回答しました（前年は20%）。
この傾向が最も顕著なのが18歳〜29歳の層です。この年代で詐欺被害や攻撃を報告した人のうち、テキスト経由での遭遇率は、昨年の13%から40%へと約3倍に急増しています。
ジェネレーション・キネティクス・センターのZ世代研究者ジェイソン・ドロシー氏は、若者が被害に遭いやすい理由として、以下の3つのトレンドが重なっていることを挙げています。
- 主要な通信手段である： 日々数百通のメッセージをやり取りするため、詐欺師が入り込む隙が大きい。
- グループチャットの多用： 知らない連絡先が含まれる大規模なグループスレッドに慣れており、詐欺師の番号を友人のものと間違えやすい。
- 経験不足と手軽な送金手段： 詐欺を見抜く経験は浅い一方で、スマホでお金を即座に動かせるため、被害に遭うまでのハードルが低い。少額詐欺があまりに一般的になり、「日常の一部」と感じてしまっている側面もある。
2. 浮き彫りになる「格差」と被害額
今年のレポートでは、年齢だけでなく、収入や人種による被害の「不均衡」についても詳細なデータが示されました。
所得による格差
詐欺の試みに遭遇した人のうち、実際に金銭的被害を報告した割合は以下の通りです。
- 低所得世帯：29%
- 高所得世帯：10% 最も所得の低い層は、最も高い層に比べて約3倍も金銭的被害に遭いやすいという結果が出ています。
人種による格差と支払い方法のリスク
人種間のデータにおいても、金銭的損失には大きな開きがあります。詐欺に遭遇した際にお金を失った割合は以下の通りです。
- 黒人の米国人：37%
- 白人の米国人：15%
この背景には、「支払い方法（決済手段）」の違いが大きく関係していると指摘されています。 連邦準備制度（FRB）によると、白人の成人の86%がクレジットカードを利用しているのに対し、黒人の成人は70%にとどまります。
- クレジットカード： 不正利用に対する保護機能（チャージバック請求権など）が手厚い。
- デビットカード・送金アプリ： クレジットカードに比べて保護が弱く、一度送金すると取り戻すのが難しい。
Consumer Reportsのチャック・ベル氏は、「新しい決済アプリや暗号資産は革新的だが、誤送金や詐欺に対する保護が少ないため、利用は自己責任になりがちだ」と警告しています。
3. 被害に遭わないための対策
レポートでは、テキスト詐欺から身を守るために以下の対策を推奨しています。
- 返信しない： 返信すると「この番号は使われている（カモになる）」と詐欺師に知らせることになります。不審な番号はブロックし、携帯電話会社にスパム報告を行ってください。
- スパム対策ツールの活用： 携帯キャリアやスマホ本体（iPhoneの「不明な差出人をフィルタ」など）の機能を使い、スパムメッセージを自動的にブロックしましょう。
- フィッシングに注意： 銀行や公的機関、知人を装ったメッセージであっても、個人情報を求められたり、急かされたりする場合は疑ってください。記載されたリンクではなく、正規の連絡先から確認を取りましょう。
- クレジットカードを優先する： オンラインでの買い物には、保護機能が強いクレジットカードを使用しましょう。送金アプリ（Venmo, Zelle, CashApp等）や暗号資産は、本当に信頼できる家族や友人への送金以外では避けるべきです。
- パスワード管理と多要素認証（MFA）： パスワードの使い回しを避け、パスワードマネージャーを使用しましょう。また、SMS認証よりも安全な「認証アプリ」や「セキュリティキー」を使った多要素認証を設定してください。
参照：https://www.consumerreports.org/money/scams-fraud/texting-and-messaging-scam-attempts-increased-by-50-percent-a1001405682/
