Google、EUの調査に猛反発。「スパム対策への介入は、詐欺業者を助けユーザーを危険にさらす」と警告

Googleは、欧州委員会が同社の検索スパム対策に対して新たに開始した調査について、「見当違いであり、何百万ものユーザーに損害を与えるリスクがある」とする強い抗議声明を発表しました。

Googleは、検索エンジンの品質を保ち、詐欺的なコンテンツからユーザーを守るためには厳しいスパム対策が必要だと主張しています。今回の調査は、逆に悪質な業者を有利にしてしまう可能性があると警鐘を鳴らしています。

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争点は「パラサイトSEO」の排除

Googleが今回の声明で特に問題視しているのが、「サイトの評判の悪用(Site reputation abuse)」、通称「パラサイトSEO」と呼ばれる手口への対策です。

これは、あまり評判の良くない業者が、社会的信用の高い有名なウェブサイトにお金を払って、自分たちの記事やリンクを掲載させてもらう手法のことです。 例えば、信頼できるニュースサイトや教育機関のサイトの中に、突如として「怪しい金融ローン」や「効果の不確かなダイエット薬」の宣伝記事が載っているようなケースがこれにあたります。

Googleは、「ユーザーや検索システムは『信頼できるサイトだ』と思ってアクセスしますが、実際には詐欺業者のコンテンツを見せられている状態です」と説明しています。 同社はこれを、検索結果の信頼を損なうスパム行為と認定し、2024年3月にルールを厳しく改定しました。こうした「評判をお金で買う」ようなサイトの順位を下げる対策を行っています。

「調査には正当性がない」とGoogleは主張

今回の欧州委員会の調査に対し、Googleは以下の理由から強く反論しています。

  1. ユーザー保護のため: ポリシーは、お金を使って検索順位を不当に上げようとする手口からユーザーを守るためのものです。
  2. 真面目なサイトを守るため: スパム業者が上位を独占するのを防ぐことで、良質なコンテンツを作っている小規模なクリエイターが正当に評価される環境を作っています。
  3. 法的にも認められている: ドイツの裁判所ではすでに同様の訴えが退けられており、Googleのスパム対策は「正当で合理的」と判断されているそうです。

今後の懸念

Googleは声明の中で、EUの規制(デジタル市場法など)がすでに検索の利便性に影響を与えていると指摘しています。その上で、「今回の驚くべき調査は、悪質な業者に報酬を与え、検索結果の質を低下させる恐れがある」と強い懸念を示しました。

Googleは、欧州のユーザーが今後も安心して検索を利用できるよう、自社のポリシーとスパム対策の正当性を断固として守っていく姿勢を見せています。


用語解説

  • パラサイトSEO(サイトの評判の悪用): 自分のサイトの評価が低い業者が、すでに検索エンジンから高い評価を得ている他人のサイト(ドメイン)の一部を借りて、自分の記事を検索上位に表示させる手法です。強いサイトに「寄生」することからこう呼ばれています。

参照:https://blog.google/inside-google/company-announcements/defending-search-users-from-parasite-seo-spam/

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