【警戒】年末年始の「空白の1週間」を狙うサイバー攻撃、日本企業が直面するリスクの正体

多くの日本企業が「御用納め」を終え、オフィスが静まり返る年末年始。しかし、セキュリティ担当者にとっては、一年で最も気の抜けない「防衛戦」の始まりとなります。

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なぜ「連休」が狙われるのか

サイバー攻撃者は、防御側が手薄になる瞬間を執拗に狙っています。米Sophos社のグローバル責任者、ジェイコブ・ドーバル氏は「警備員が立っている時に銀行を襲う者はいない。警備員が帰宅するのを待つのだ」と、休暇期間の危うさを指摘します。

実際、サイバーセキュリティ企業Semperisの最新レポートによれば、ランサムウェア攻撃の52%が週末または祝日に発生しています。一方で、78%の組織が「休暇中はセキュリティスタッフを減らしている」と回答しており、攻撃者と防御側のリソースに大きなギャップが生じているのが実態です。

過去の教訓:クリスマスに発覚した大規模侵害

振り返れば、歴史に残る重大なサイバー事件の多くが、この年末の時期に発生しています。

  • 2020年12月:ロシア政府の関与が疑われる「SolarWinds」へのスパイ工作が発覚。
  • 2021年12月:世界中のシステムに影響を与えた「Log4j」の深刻な脆弱性が、クリスマス直前に露呈。
  • 2024年末:米財務省への中国系ハッカーによる侵入が12月最終週に判明。

これらの事例は、日本企業にとっても他人事ではありません。国内でも、連休明けに「出社したらシステムが暗号化されていた」という被害報告が後を絶たないのが現状です。

「低いところにある果実」を放置しない

攻撃者が侵入の手がかりとするのは、決して高度な手法ばかりではありません。ドーバル氏は、「10回中9回は、未対策のデバイスや多要素認証(MFA)の未導入など、いわゆる『低いところにある果実(簡単に狙える弱点)』が突破口になる」と警鐘を鳴らします。

Deep Instinct社のCIO、カール・フロゲット氏は、かつてシティグループの幹部を務めていた際、11月中に主要なパッチ適用や従業員教育をすべて完了させるよう徹底していたといいます。日本の習慣に当てはめるなら、大掃除と同じように、仕事納めまでにデジタル資産の「総点検」を終えておくことが重要です。

AIが「不眠不休のガードマン」に

深刻な人手不足に悩む日本の現場において、期待されているのがAIの活用です。フロゲット氏は、人間がログアウトした後も稼働し続ける「AIエージェント」が、担当者のバーンアウト(燃え尽き症候群)を防ぎ、防御力を底上げする鍵になると述べています。

休暇明けの「手遅れ」を防ぐために

最も恐ろしいのは、連休中に侵入を許し、社員が通常業務に戻ってから数週間経つまで被害に気づかないケースです。

「静かな連休」は、攻撃者にとっての「絶好の準備期間」でもあります。連休明けの「仕事始め」に絶望を味わわないために、今一度、社内のセキュリティ衛生管理を見直すべき時が来ています。

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